【コラム】自由財産拡張手続きとは?
2015.07.17
解決策
自己破産をしたからといって、まったくの無一文になってしまうわけではありません。自己破産では、破産者が自由にできる財産として「破産手続開始決定後に得た財産」、「99万円以下の現金」、「差押え禁止財産(生活必需品など)」などを認めています。また自己破産には、さらにこの自由財産の範囲を拡張できる手続きがあるのです。
ただし、20万円を超える現金を所持していた場合は、同時廃止事件ではなく管財事件として処理されることになり、申立の費用負担が多くなってしまう点は覚えておくようにしましょう。
───────────────────────────────
■ 自由財産拡張は裁判所によって運用が異なる
───────────────────────────────
実は自己破産という手続きは、裁判所によって細かい運用が異なる手続きとなっています。
もちろん、どの裁判所も「破産法」を基準としているため、おおまかな運用自体は全国的に違いはありませんが、自由財産の拡張といった明確な判断基準が明記されていない手続きについては、裁判所それぞれの判断に委ねられています。よって、自由財産の拡張を検討しているのであれば、管轄裁判所ごとの運用状況を知る必要があるのです。こうした情報は一般的には入手するのが非常に難しいため、自由財産の拡張を検討しているのであれば、弁護士に依頼をしたほうが無難であると言えます。
───────────────────────────────
■ 自由財産拡張は誰が決定する?
───────────────────────────────
では、最終的には誰が自由財産の拡張の決定をするのでしょうか?こちらはもちろん裁判官です。ただし、裁判官は破産管財人の意見を非常に尊重しています。よって、破産管財人に対しては極力、協力的な付き合いを心がけましょう。あまり破産管財人に悪い心証を与えてしまうと、自由財産拡張が認められなくなってしまう可能性が出てきてしまいます。
とはいえ、破産管財人はその地域の弁護士が担当していることがほとんどで、破産手続きを弁護士に依頼していれば、弁護士同士のコミュニケーションから有利に進めていけると言えます。
───────────────────────────────
■ どういった財産が拡張によって認められるのか
───────────────────────────────
上記のように、自由財産拡張の範囲について明確な基準はありませんが、過去にどういった財産が認められてきたのかを参考にすることが可能です。
過去には、解約返戻金が20万円を超える生命保険や学資保険、受け取り見込み額の8分の1が20万円を超えてしまう退職金など、通常であれば債権者への返済に充てられてしまう財産を、手元に残しておくことが認められています。自由財産拡張手続きをうまく利用することによって、破産後の生活をより良いものにできると言えるでしょう。

関連記事
いくら借金があれば債務整理ができるのか?どういった生活状況なら債・・・
街中を歩いていると、クレジットカードのショッピング枠を現金化でき・・・
レイクの判決により、時効が中断。他の借金の解決も一気に行いたいと・・・